2010.11.17
『たいじや』の続き、書いたけどちょっと説明調が強いので書き直し中です(汗)
気分を変えて超短い小噺を書きました。
構想3秒。
若干、本編(鏡の月)のネタバレあり。
15日にupすればよかったんだけど、今朝思いついたのよ。
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あー、一度は出雲に行きたい!!
-出立-
「じゃあ行ってくる」
「いってらっしゃい。気をつけてね」
「根掘り葉掘り聞いてくる奴らがいささか面倒だが、これも仕事だからな」
と言って眉根をよせている詠に、彩華は苦笑する。なんだかんだ言っても、彼が集まりを楽しみにしているのを知っているのだ。
「おー土産頼むぞー。うおっ?!」
素っ頓狂な声をあげた月影が宙に浮いた。
黒猫の姿のままの月影を肩に乗せて、月詠尊は淡々と彼に告げる。
「……なにを言っている。お前も来るんだ」
「なんでだ。オレは関係ないだろう?」
「関係あるだろう」
「緋月は留守番じゃないか」
「緋月は俺の使いだから関係ない。〝お前〟は〝俺〟。屁理屈ばかり言ってないで観念しろ」
風切り音によって月影の叫びは掻き消された。瞬く間にふたりの姿が消える。
先ほどの喧騒とは打って変わって、本殿はしんと静まり返った。
ひとり残された彩華は乾いた笑いを浮かべた。
「慌しい出立だなぁ……」
今日から七日ほど神社は静かだろう。
少し寂しい想いを胸に抱いて、彩華は本殿を出た。